漫画『Artiste』あらすじ・感想|芸術家たちの群像劇

漫画『Artiste』あらすじ・感想 漫画

コミックバンチで連載されている、さもえど太郎さんの作品『Artiste』。

本作は、類まれな嗅覚と味覚を持ったジルベール、その同僚や芸術家たちの成長を描いた群像劇。自分に自信がなく、皿洗いなどの雑用係をしていた料理人ジルベールの人生が、新人マルコと出会ったことで大きく動き出します。

登場人物(2巻までに登場)

ジルベール・ブランシャール

超気弱な性格でいつもオドオドしている見た目も地味な料理人。カルマンシェフのもとでは、ある事件をきっかけに皿洗いなどの雑用を担っていた。
実は天才的な嗅覚と味覚の持ち主で、メグレ―シェフのもとで才能を開花させていく。

マルコ

カルマンのレストランで雇われたマイペースな新人。なんでもそつなくこなせることから何事にも興味を示せなくなった。ジルベールと出会い「好きなこと」を見つけたいと思うようになる。

ヴィクトール・メグレー

パリの有名シェフ。あるときジルベールを自分のレストランに引き抜こうと声をかけた。事故による後遺症で、現場を離れている。

レストランの関係者

ミシェル
メグレーの娘で、レストランのマネージャー。美人で強い!

エルザ
ジルベールの幼馴染で料理人。なんだか恋の香り……。

ヤン・ピエルネ
前菜と食材管理担当。気のいい爽やかな青年かと思いきや、過去に何かあった様子。

ディミトリ・アントルモン
パティシエ。大柄で、調理器具をよく壊す。それはもうとにかく壊す。

リュカ・サクライ
魚担当。行動が機械のように常に正確。何かが「変わる」ことが苦手。

ジルベールが住むアパートの人々

カトリーヌ
芸術家のためのアパートの大家さん。ジルベールの入居を受け入れた。家賃を安くする代わりに、入居希望者は何か一芸を披露しないといけない。

マリア
物腰は柔らかいが、圧が強い。

ヨルゴ
ヴァイオリニストの老人。

ジャン
売れない画家のおじさん。

サラ
おもちゃデザイナー。

フレデリック・カルマン

ジルベールが働いていたレストランのシェフ。味覚障害を患っており、息子のモーリスにもその事実を隠していた。
実は、本人が気付くより前に、ジルベールはその事実に気づいていた。

『Artiste』の魅力と感想

「自信が持てない」ジルベールが変わっていく

本作では、料理人としての厳しい世界、華やかな店内とは真逆で怒号の飛び交う厨房の様子などが描かれる一方で、主人公であるジルベールが自身と向き合い成長していく様が描かれます。

絶対的な嗅覚と味覚を持っているため、その人の持ち物や行動が分かったり、ちょっとした味の違いにも敏感。そのせいで周囲には気味悪がられ、子供の頃から人との接触を極力避けてきたジルベール。
ちょっと気の毒になるんですけど、もし自分が匂いで持ち物を当てられたら、きっと怖がっていたかも……。

自分の生まれ持った才能のせいでコミュ障になりどこまでもネガティブになるんですが、その才能によって居場所を見つけ、前向きになっていくのが面白いなと思いました。

さまざまな芸術家たちの悩みや過去が描かれる

本作ではジルベールだけでなく、彼の同僚たち、画家、音楽家、デザイナー、漫画家など、さまざまなアーティストたちにもスポットライトが当たります。ちなみに全員、クセ者です!

過去の出来事が原因で前に踏み出せなくなっていたり、己の性格が原因でトラブルを起こしたり……、それぞれが悩みや葛藤を抱えていて、だけどそれを乗り越えて前に進もうとする姿に勇気をもらえます。

ジルベールが変わるきっかけとなった人物・マルコ

ジルベールがカルマンシェフのもとで皿洗いをしていたときに出会ったマルコ。掴みどころがなく淡々としている雰囲気ですが、彼の言葉によってジルベールは変わるきっかけを得ます。

自分は、マルコというキャラクターが最も自分に似ていると思っていまして……。
何かに特別秀でてるわけでもないけど、全くできないこともないから、本当に好きなことややりたいことが分からなくなってしまうんですよね。
彼が作品の中でどうなっていくのかは、個人的に気になるところです。

料理がどれも美味しそう!

アーティストたちの群像劇とは言えど、やはり料理人が主人公の料理漫画。登場する料理はどれも美味しそうで、味を想像するだけでうっとりしちゃいます。
って、ワタクシ普段高級レストランなんて行かないんですけど……。きっと想像しているより遥かに美味しいんだろうな〜。

お堅そうな料理とは違いますが、2巻でジルベールがクロックムッシュを作るんです。
これが私の空いた胃袋を刺激! この作品を読んでから、パン屋さんでクロックムッシュを見つけるたびに買っちゃうようになりました笑

アーティストたちの活躍に注目!

『Artiste』のあらすじや魅力を紹介しました。

ハラハラする展開はないけど先が気になって惹かれるし、非現実的ではないからこそ共感できる部分がたくさんある作品でした。
アーティストたちの活躍を、ぜひ読んでみてくださいね。

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